解説:有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第5回)(前編)
2025年9月16日に開催された
有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第5回)
の解説です。
前編・中編・後編の3本の音声にわけて解説します。
前編は、有料老人ホームの現状と課題について
住宅型有料老人ホームの課題についてまとめられています。
↓音声解説はこちら
・住宅型有料老人ホームなのに
募集段階から介護サービスの提供を前提としている
・住宅型有料老人ホームと、介護付き有料老人ホーム(特定施設)とはどう違う?
・住宅型有料老人ホームと、サービス付き高齢者向け住宅とはどう違う?
※この議論にサービス付き高齢者向け住宅が入っていない
・重度になっても住み続ける住宅型有料老人ホームには安全性の担保から最低限の人員配置基準が必要では?
・入居を希望する高齢者が、適切な判断を下せる仕組みがない、退院時に限られた時間で選択しているケースが多い
・入居紹介事業者と、入居希望者(高齢者)の間に、紹介契約があるわけではない
・入居紹介事業者の、紹介手数料の設定について情報公開すべきでは?
・紹介手数料が、介護施設側からしかもらっていないので、入居希望者の希望に添えないのではないか
36ページまでは、現在の有料老人ホーム等の概要で、貴重なデータが盛り沢山です。
解説内容の全文掲載
本日は、令和7年9月16日に開催された
有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第5回)
について解説します。
資料の方はリンク先にありますので、ご覧いただきながら解説を聞いていただければと思います。
まずは、有料老人ホームの現状と課題について
に書かれてあるこれまでの議論についてのまとめです。
住宅型有料老人ホームの課題についてまとめられています。
・住宅型有料老人ホームなのに
募集段階から介護サービスの提供を前提としている
・住宅型有料老人ホームと、介護付き有料老人ホーム(特定施設)とはどう違う?
・住宅型有料老人ホームと、サービス付き高齢者向け住宅とはどう違う?
※この議論にサービス付き高齢者向け住宅が入っていない
・重度になっても住み続ける住宅型有料老人ホームには安全性の担保から最低限の人員配置基準が必要では?
・入居を希望する高齢者が、適切な判断を下せる仕組みがない、退院時に限られた時間で選択しているケースが多い
・入居紹介事業者と、入居希望者(高齢者)の間に、紹介契約があるわけではない
・入居紹介事業者の、紹介手数料の設定について情報公開すべきでは?
・紹介手数料が、介護施設側からしかもらっていないので、入居希望者の希望に添えないのではないか
こういう感じですね。
追加資料の方のデータがよくまとまっておりまして
介護付き有料老人ホームが5179件
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅が19954件
介護付きの約3倍が「外付け」の24時間介護の住宅であるという現状
その理由は考えるとシンプルなのですが
・特定施設の認可が必要ない
・サ高住の建築補助金があった
・在宅であるため介護報酬が特定施設より高い
・人員基準がない(併設介護サービスの基準)
という理由で、どんどん増え続けているわけですね。
ビジネス的理由で考えると、住宅型有料やサ高住を選択するのは、当然といえば当然です。
そして、今回第5回の資料が
有料老人ホームの現状と課題について
を見ていきましょう。
36ページまでは、現在の有料老人ホーム等の概要で、貴重なデータが盛り沢山です。
まず、注目すべきは
5ページと7ページの
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の施設数と定員数の推移のグラフです。
貴重なデータですね。
有料老人ホームの方は、現在も直線的に増え続けている状況
18ページの資料によると、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県、大阪、愛知、福岡、の増加率が高いそうです。
サービス付き高齢者向け住宅は増え続けていますが、かなり飽和してきた状況
といえます。
このあたりは、33ページ、34ページに、都道府県別の棒グラフがありますのでご参考ください。
14ページには
特定施設の介護報酬と、住宅型やサ高住宅の在宅の支給限度額の違いがグラフで書かれています。
要介護2まではほぼ同じ、要介護3以上は、介護報酬が大きく乖離してきます。
こちらは113ページの資料で、詳細に解説されています。
戻って、18ページの資料によると、住宅型の要介護が3以上の入居者は55.9%ということ。
先ほど述べたように、ビジネス的理由で考えると、住宅型有料やサ高住を選択するのは当然ですよね。
19ページ、20ページには
高齢者向け施設・住まいの施設数と利用者数の推移がグラフ化されています。
介護保険の歴史がよくわかるグラフですね。
ほぼ認可が出なくなってきたため、
伸びているのは、特養と有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅です。
有料老人ホームの伸び方が、他と比べて異常に高いです。
少し飛んで29ページ
高齢者住まいの入居ルートがまとめられています。
介護付き有料、住宅型有料、サ高住別に紹介元である
本人・家族、紹介事業者、ケアマネジャー、医療機関からの退院
の割合がグラフ化されています。
非常に面白いデータなのですが、悲しいことに令和2年のデータ。
5年前ですので、ちょっと古すぎます。
現在は、紹介事業者経由の割合がかなりあがっているものと推測されます。
理由は明確です。
新型コロナ禍の3年間の間に、スマホの活用が大きく進化しました。
SNSもスマホ広告も一気に進化しました。
また、googleの検索アルゴリズムがガラッと変わり、全国系の情報サイトか、アフィリエイトサイト、そして広告しか検索結果に表示されなくなったのですよね。
コロナ禍で見学にも行きにくい状況でしたので、年配の方もスマホで探すのが当たり前に。
また、ケアマネジャーも医療機関の地域連携室も、入居先、退院先を探すのが面倒なので、紹介業者に丸投げしてしまう文化も根付いたことにあります。
こうした文化は都会で顕著でしたが、地方にもかなり押し寄せてきています。
30ページに、入居前の「居場所」がデータ化されています。
こちらは2024年、令和6年のデータなので最新ですね。
10年前と比べて、病院、診療所からの退院という比率は変わっていないようです。
もう一つの注目すべき点は、10年前と比べて、自宅からの割合が減少し、その他の割合が増加している点です。
この理由は明確ではありませんが、おそらく、分類されていない「入居施設」であると思われます。
入居を促進された場合は、この「その他」の部分に注目して対策すると良いかもしれません。
関連資料
これまでの議論の整理を踏まえた検討の方向性について(2025年9月16日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562429.pdf
有料老人ホームの現状と課題について(2025年9月16日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf
有料老人ホームの現状と課題について(追加資料)(2025年9月16日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562431.pdf
有料老人ホームの施設数・定員数の推移(H1-R6)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf#page=5
サービス付き高齢者向け住宅の棟数・戸数の推移(H2-R6)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf#page=7
特定施設入所者生活介護と、区分支給限度基準額の介護報酬の乖離について(要介護度と単位)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf#page=14
高齢者向け住まい・施設の、施設数の推移(H12-R6)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf#page=19
高齢者向け住まい・施設の、入居者数の推移(H12-R6)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf#page=20
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の施設数について都道府県別の動向(R6)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf#page=33
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の入居者数について都道府県別の動向(R6)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001562434.pdf#page=34
中編・後編はこちらからご覧ください
#有料老人ホーム
#サービス付き高齢者向け住宅
#特定施設入所者生活介護
